省エネ効果は?日射取得型と日射遮蔽型をどう選ぶ

住宅の断熱化では窓などの開口部の断熱性能を高めることがポイントのひとつとなります。

少し古いデータですが、冬の暖房時に外に逃げる熱のうち、58%の熱が開口部から流失しています。室内の熱の半分以上が開口部から逃げているということです。住宅の断熱性能を考える上で窓の大きさやガラスの性能は重要です。


現在では住宅の窓ガラスはほぼLow-E複層ガラスを採用されており、更にペアガラスをトリプルガラスにしたり、中空層にガス入りを選ぶこと等により性能を高めることができます。

また、Low-E複層ガラスは特殊金属膜のコーティング位置によって、日射取得型(日射熱を取り込む)や日射遮蔽型(日射熱を抑える)などに分けられており、窓の方位や部屋の用途により配置を考えます。

例えば南面のリビングの窓はどちらを配置したら良いでしょうか。

冬はなるべく日射による熱を室内に取り入れることにより、暖房に必要なエネルギーを削減したい(日射取得型)、でも夏は日射を遮り室温の上昇を抑えることで冷房に必要なエネルギーを削減したい(日射遮蔽型)と、相反します。

そこで、どちらを選んだら良いかということになりますが、冷房よりも暖房の方が消費エネルギー量は大きいため冬場の日射熱の取り込みを優先させることが省エネになります。
また、夏の日射熱はカーテンやアウターシェードなどで遮蔽が可能ですが、冬の日射取得量を増やすことは困難です。

実際のプランで南面の窓を日射取得型と日射遮蔽型でそれぞれ一次エネルギー消費量計算をした結果です。
日射取得型から日射遮蔽型により、暖房の消費エネルギーが836MJ増加し、冷房の消費エネルギーは265MJ減少しました。差し引き571MJ増加し、この結果BEI値は0.61から0.62となりました。

地域区分5の富山県では、南面の窓は日射取得型にする方が効率的に省エネルギーが図れます。