「吹き抜け」は耐震性に不利ですか?

「吹き抜け」があるリビングは開放感があり、多くの自然光を室内に取り入れることが可能となります。
家族が集まる空間が一層明るく、広々とした印象やおしゃれな雰囲気を作り出すことができる「吹き抜け」は家づくりを考えておられる方には魅力的な設計要素のひとつではないでしょうか。

さて、こんな素敵な「吹き抜け」ですが、地震に弱いとお聞きになったことはありませんか?
今回は「吹き抜け」と「耐震性能」についてお話したいと思います。

吹き抜けのあるリビングは構造的に弱い

吹き抜けが地震に弱いとされる理由を分かりやすく説明すると、
ふたの空いた段ボール箱とふたを閉めてガムテープで固定した段ボール箱では、ふたを閉めて固定した段ボール箱の方が横からの力に強いというのは容易に想像できるかと思います。

木造住宅においても2階の床は構造的に大きな意味を持っています。
2階の床に構造用合板をしっかり貼ることで強い構造にすることができますが、床に大きな穴をあける吹き抜けでは本来あるはずの床(と壁)がなくなるため構造を支えることができません。
そのため、地震で発生する水平力に対して建物を支える床のない吹き抜けは構造的に弱くなってしまうのです。

そのため、吹き抜けを設ける際は構造計算を行い耐震性に対して根拠ある設計にすることが必要です。
構造計算の結果、小屋裏の水平面に構造用合板を貼って剛性を高めたり、吹き抜け部分に水平ブレースを設けたりすることで耐震性を確保します。

吹き抜けは「開放感があり空間が広く感じる」「自然光が入り部屋が明るくなる」「コミュニケーションがとりやすい」などのメリットがあります。
吹き抜けを取り入れるメリットとデメリットを理解したうえで、後悔しない家づくりをしていただきたいと思います。

構造計算のご相談について

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住宅の構造の安全性を検討する方法として「仕様規定」「性能表示の計算」「許容応力度計算」の3通りがあります。
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